オン・ノーヴェンバー

作詞・作曲 朝日太一

真夜中の少し前
一人でバスタブの中で
あふれんばかり水を飲む
意識さえ遠くなる

あの人は
何も言わずに
鏡に向かって
髪をとかしていた
一人きり寒い夜に
君の幻を眺めて
愛撫する
愛している
手応えのない
この動き
あの人は
何も言わずに
唇をゆがませて
僕を笑った
十一月の雨に
うたれて死ねるなら死にたい
永遠に続く悪夢
ひとときさえも忘れていられるなら
真夜中の少し前
時間はずっと動かない
焦点が合わないから
僕は何も見ることはない
あの人が
何も言わずに
この街から
逃げ出してしまっても
かえれない戻れない
進むこともできないけど
繰り返す繰り返す
意識がもう遠くなる
あの人はいない
魂だけなら
どこまでも
つきまとえるのに