インランド・エンパイア

ローラパーマーの母ではない

ずっと見たくてたまらなかった「インランド・エンパイア」やっと見ることができました。2006年デヴィッド・リンチ監督作品。

女優ニッキーが出演することになった作品は、かつて主演俳優2人が撮影中に死亡したため、
撮影が中断されたいわくつきの映画だった。ニッキーは映画の役にのめりこみ、
次第に映画と私生活の区別がつかなくなっていき、やがて奇妙な出来事が起こる。

リンチファンにとってはしょっぱなからたまらないシーンの連続です。不穏なご近所様・不穏な女優・不穏なウサギ・不穏な黒電話。不穏さの大安売り。
リンチの作品はたいてい偏執狂的に丁寧に作られているので、この映画でも謎解きがしたい方は各シーン、部屋の隅々まできっちり見ておくと楽しいと思います。三谷幸喜作品のようにわかりやすく複線を回収してはくれませんが見ておくと後半「お!」と何度も思えること間違いありません。

不穏なウサギ

この映画は登場人物のアップが多用されていて特に主演のローラ・ダーンの顔芸はつっこみどころ満載。リンチの異常な演技指導とあいまってすごいことになっています。本当にローラ・ダーンの顔は縦長すぎる。首と顔の横幅が同じくらいだよ。対する日本勢はホームレス役で大抜擢の裕木奈江のかわいさが引き立ちます。劇中BECKが流れたのは驚きました。BECKの間だけ不穏さゼロの超おしゃれ映画になってた。さすがBECK!

かわいい裕木奈江

リンチが昔から好きであろう要素(ストロボ・売春婦・ハリウッド etc)とこの映画としての要素(女優・いわくつきの映画・泣く女・ウサギ etc)など記号がとにかく多く、しかも関連性も豊富に提示されます。見終わった後ジグソーパズルのように組み合わせていくのが楽しい映画です。

長い顔

小倉智昭がとくダネ!で「こんなひどい映画見るな」と断言していたインランド・エンパイア。過去リンチみて面白いと思った人はぜひともチャレンジあれ!

インランド・エンパイア
ストロボ度:★★★★☆
顔芸度:★★★★★
6/8拍子度:★★☆☆☆